2009/07/06

ボルネオ島のイバン族

テレビでジャワ島の河川が増水して家屋が浸水し始めているというドキュメンタリーが放送されたという。
原因は森林や、水上を彩るマングローブの急激な減少らしい。
この時期に頭の毛の薄い人を見ていれば、皮膚から吹き出した汗がそのまま額から頬へと流れていくのがわかるであろう。現在のジャワ島に起こっていることはその現象の尺度を人間の頭から一つの島へと広げた話である。
ただ、人間の頭皮には家屋もなければそこに住む生物もあまりいないようである。さらに流れた汗はタオルで拭えばすぐ解決される。また、人工植毛というものがこの流れ出る汗を食い止めてくれるのか、そして自然増毛というものが医学的に可能なのかは、興味深い問題である。
私が2007年の7月から8月にかけて訪れた、マレーシア・ボルネオ島に住むイバン族の村では、森林減少の二つの大きな要因を目の当たりにすることができた。
それは焼畑農業と森林伐採業である。この二つは彼らの重要な生業となっている。特に森林伐採業は、現在私たちが住む木造住宅の柱や梁として利用され、我々と全く無関係ではない。
私と仲間が村から去る時、イバン族の人たちは数十メートルある川の対岸から泳いで追いかけてきてくれた。我々はそこで涙の抱擁をし、最後の別れをすることができたのである。
もしあの時川が増水していたら、今もこの胸に残っている感動は、なかったかも知れない。