2013/12/16

寺田寅彦

単調で荒涼な砂漠の国には一神教が生まれると言った人があった。日本のような多彩にして変幻きわまりなき自然をもつ国で八百万の神々が生まれ崇拝され続けて来たのは当然のことであろう。山も川も木も一つ一つが神であり人でもあるのである。

2013/11/21

堀部安嗣

空調設備や仕上げの材料や建具や家具といった二次的三次的な措置によって、建築は表層的にどんどん快適にすることができる。けれども一次的な快適性に欠けた建築あるいは一次的な快適性を生かしていない建築は、どうも生命感と魅力に乏しく、飽きが早く来てしまうような感じがする。

果皮を剥き器に溜める石榴かな

物干し場干柿並び衣服減り

寒き夜黒糖入りの生姜の湯

2013/11/17

岡潔

漱石が死ぬ前に芥川にあてて書いた手紙に、「人は、牛のようにやらなければだめだ。」といっていますが、わたしも、数学を牛のようにやってきたようです。

2013/10/24

岡潔

人生というものは、本当に善く生きようとする者にとってはまことに生きにくいものだと思う。

2013/10/19

ロラン・バルト

強烈な感銘を受けたもの。かつて、決して消えることのない感銘を受けたもの。それはマルクスの次のような考え方であった。「歴史の中では悲劇がときどき再来するが、ただしそれは笑劇としてである。」という考え方だ。

2013/10/14

岡潔

現代は、詩が欠けているんです。

線香と松茸香る仏間かな

2013/10/13

岡潔

私の父は「日本人が桜が好きなのは、散りぎわが潔いからだ」と教えてくれた。

赤子抱き泣かれる胸に赤い羽根

2013/10/03

村上春樹

「社会的なもの」と「個人的なもの」というのを、あまり意識的に分けていかないほうがいいような気がします。そのふたつは、ある場合にはきわめて相似的なものになりうるのだと、僕は感じています。
_____97/3/21

2013/09/26

岡潔

私は深く考えたい時は、必ず寝床をのべてもらって寝て考える。これはたぶん、もちろん無意識にではあるが、身体の平衡のことに気を散らさないようにするためであろう。

2013/09/06

岡潔

徳川三百年の鎖国時代は、芭蕉及びその一門の俳句、連句を生んだ。私はそれだけで十分存在理由があると思っているが、それ以外にもう一つ、非常に貴重なものを生んでいる。それは伊藤宗看、伊藤看寿兄弟の詰将棋である。

2013/08/22

岡潔

寺田寅彦先生が言うように、ある文章で一字二字を置き換えるというごく些細なものであっても、それが本当に創造であれば、全身に喜びを感じるのである。

2013/07/30

岡潔

一日一日を心から生きるのは創造です。創造とは何も学術上の発見発明や、芸術上の創作ばかりではありません。

2013/07/13

岡潔

西洋文明がリードし、生存競争なしには食べていけないというやり方では、組織が人を押し殺し、機械が人を押し殺す。この道を行けば、やっぱり人類はだめです。

2013/07/02

岡潔

教育は、生まれた子を、天分がそこなわれないように育て上げるのが限度であってそれ以上によくすることはできない。これに反して、悪くする方ならいくらでもできる。だから教育は恐ろしいのである。

2013/05/20

フランツ・カフカ

平均化はただしい、おそらくは。だが、ゆきすぎた客観化は、あらゆる生の可能性を断ってしまう。
_____『断片』より

2013/05/18

「先輩社員が当社を選んだ理由」

建築というものは自動車とは違って動くことが出来ません。コンピュータ産業がどんなに進展しようとも、建築は一度建てられると、その「場所」に何年、何十年と存在し続けます。
また、建築が建てられる「場所」とは、決してどこでも同じものではありません。
仮に全く同じ設計図で二つの建築が建てられたとしても、その建築が建つ「場所」が変われば、二つは全く異なったものになります。
学生時代の私は、気候風土こそが、その違いを生み出すものだと考えていました。そして地元の気候風土を肌に感じながら建築をつくる為、私は当社へ入社しました。
皆さんが「建築をつくる」職業を望む上で確かな事があります。それは建築が「場所」に建って動かない以上、皆さんが動かずにいれば、決して理想の建築や会社には出会えないという事です。
ですから、インターネットや、会社案内に書かれている形式的な文章を眺めるだけではなく、是非一度、自分の足で当社を訪問して下さい。
そしてそこで働く社員と、その社員がつくりあげている建設現場を、自分の目で確かめて下さい。
皆さんがうわべの知識ではなく、自分自身の足と目で得た情報によって、就職先を判断する事を願っています。
(会社案内用に作成した文章)

2013/03/19

村上春樹

世界には涙を流すことのできない哀しみというのが存在するのだ。
それは誰に向っても説明することができないし、たとえ説明できたとしても、誰にも理解してもらうことのできない種類のものなのだ。その哀しみはどのような形に変えることもできず、風のない夜の雪のようにただ静かに心に積もっていくだけのものなのだ。
_____「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」より

2013/01/20

東山魁夷

人は尋常でない面、いわゆる無気味な面を持っている場合、二種類あると思うわけです。それをぶちまけていく人間と、それを内側に秘めて、表にあまり見せようとしない人間と。
いずれにせよ、デモーニッシュなものがなければ、文学も絵画も成り立たないと思うんですが、デモーニッシュなものがどういうふうに表れていくか。それを私の場合はなるべく隠したい、抑えたい気持ちのほうが多いんです。

2013/01/11

村上春樹

限定された人生には限定された祝福が与えられる
_____「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」より