私の部屋には、北側と東側に窓がある。
毎朝布団から起き上がらずにこの二つの窓を覗くと、空だけが切り取られている。
布団をあげてそこへ置いた長椅子に座っていると、東側の窓からは竹藪が、北側の窓からは富士山が見える。
椅子に座り机に向かっている時、ふと窓を眺めると今度は芝生と欅と柿の木と茶、そして周囲のアパートや家々が顔を出し、かすかな川の流れを感じる。
また部屋の中で立ち上がると、今まで隠れていた手前の畑や、軒先で休んでいる祖母の存在に気づく。
この二つの窓は、私の位置によって様々な景色を映し出してくれる。
と同時に、窓の外の世界も日々刻々と変化していることを、布団から眺める空や長椅子と向かい合う富士山が教えてくれる。
私の部屋の窓は、そんな窓である。