四月の終わりから五月の初めにかけて、家の周囲で最も若葉の黄緑色が目立つのは、柿と茶である。
毎年この時期に休日一日を使って、我が家では茶摘みをおこなっている。
茶の木々は、家の裏手の芝生を囲うように植えられており、生垣としても機能している。いわゆる茶畑と呼べるものではない。
我が家の茶にはザイライとヤブキタという2つの品種があり、樹齢の問題、品種の問題からヤブキタの方がこのところ勢いが良い。今年は合わせて46kgの茶葉が摘めた。
久しく茶摘みなどしていなかった私は、集まった親戚たちの摘み方を見様見真似するしかなかった。
すると、人によって摘み方にかなりの違いが見受けられた。
ある二人の男性は、両手で乱雑に摘んでいた。むしろ毟っているといった方が正確かも知れない。籠の中はすぐに一杯になっていく。
隣の家のおばあちゃんは、枝の一本一本を丁寧に持ち、脇に生えている茶葉まで摘んでいた。
伯母はただ一人逆手で茶葉を迎え入れるように摘んでおり、茶葉が摘まれる瞬間の挙動がとても小さかった。
後の二人が摘んだ茶の味は、前の二人とは違ったものになるだろうと思う。
しかし後の二人を真似て摘んだ私の茶の味は、摘み方同様、二番煎じになるだろう。