2009/05/04

夜行バス


新宿から山形・鶴岡市へ夜行バスで向かっていた。

そのバスの中で、こんな夢を見た。
夢の中では私は東京・恵比寿に住んでいて、朝起きると隣りにはMさんが寝相悪く眠っていた。
Mさんの向こうにはキッチンがあり、そこではAさんが包丁で野菜を切っていた。
ワンルームであるそのすまいを見渡すと、南の窓際にMさんの祖父の小さな盆栽があり、その窓の横の壁にクリムトの「接吻」が飾られ、ユニットバスのドア近くの壁にAさんが描いた絵が飾られていた。
MさんがAさんに起こされるまでの間、私はAさんの後ろ姿を独り占めにし、窓から入ってくる春の陽と穏やかな風に満たされた、MさんとAさんの部屋を独り占めにしていた。
目が覚めると、私は田に水を張り始めたばかりの初夏の庄内平野にいた。
そして夢に出てきた二人は、若葉が映える一本の木の下で、寄り添って立っていた。
二人が結ばれることを、神ではなく、私たちと木と、広がる平野に誓う姿は、いかにも二人らしく、自然に見えた。