2009/09/21

原宿駅前の歩道橋

日曜日の十時前にJR原宿駅前の歩道橋から、明治神宮の大きな杜と国立代々木屋内総合競技場、そして表参道を眺めていた。
私と違って自分の立てたスケジュールをきっちりとこなす彼は、きっと待ち合わせ時間に遅れることはない。
「彼」とは大学時代からの付き合いで、大学へ入学した最初のガイダンスの時に初めて出会ったと記憶している。
私自身の設計よりも彼の設計した作品の方が頭の中に残っていると言えば、私における彼の影響がいかに大きいかわかるであろう。
しかしこれまでの6年間、私と彼はいつも一緒にいたわけではなかった。むしろ歩いてきた方向は違っていたような気がする。
学部の卒業旅行で彼とアメリカを横断した時も、移動のバスの中ではいつも離れて座っていた。それぞれ反対の窓から、違う景色を眺めていた。
そんな彼には「ケンジ」と「サトシ」という二つの名前がある。
彼は生れる前から「賢司」と名付けられていたが、生まれた顔を見て両親が漢字をそのままに「サトシ」という読みへと変えてしまったらしい。その出来事が今の彼を創ってしまった。
彼には「ケンジ」という「論理的」な部分と、「サトシ」という「非論理的」な部分が同居していると、私は思っている。
数か月ぶりに見た彼の顔は、あの頃のままだった。