2013/03/19

村上春樹

世界には涙を流すことのできない哀しみというのが存在するのだ。
それは誰に向っても説明することができないし、たとえ説明できたとしても、誰にも理解してもらうことのできない種類のものなのだ。その哀しみはどのような形に変えることもできず、風のない夜の雪のようにただ静かに心に積もっていくだけのものなのだ。
_____「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」より

2013/01/20

東山魁夷

人は尋常でない面、いわゆる無気味な面を持っている場合、二種類あると思うわけです。それをぶちまけていく人間と、それを内側に秘めて、表にあまり見せようとしない人間と。
いずれにせよ、デモーニッシュなものがなければ、文学も絵画も成り立たないと思うんですが、デモーニッシュなものがどういうふうに表れていくか。それを私の場合はなるべく隠したい、抑えたい気持ちのほうが多いんです。

2013/01/11

村上春樹

限定された人生には限定された祝福が与えられる
_____「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」より

2012/12/22

坂口安吾

私は「家」というものが子供の時から恐ろしかった。それは雪国の旧家というものが特別陰鬱な建築で、どの部屋も薄暗く、部屋と部屋の区劃が不明確で、迷園の如く陰気でだだっ広く、冷たさと空虚と未来への絶望と呪詛のごときものが漂っているように感じられる。
_____「石の思い」より