2011/08/03

内藤廣

基本的に構造力学は人間とは無関係です。問題は、その力学のスピリットをどうやったら誤解なく自然に人間のものにできるか、人間の生活、人間の感性に近いものにできるかです。ここに、構造デザインの意味があります。

必要だから建てられたという、事実だけを背負ったようなもの、に憧れる気持ちがあります。建築をめぐる状況が、あまりに複雑になってしまったからかもしれません。

計算が要領よくできたり仕事を適当にさばけたりするのが本当のエンジニアではなく、工学的な境界線に立った時、予想外のことが起きたときに適切な判断ができるのが本当のエンジニアというものです。